チラシ裏日記上等!!新館

Webアプリケーションエンジニアの雑記帳。映画とかアニメとかの記事も書きます。

機動戦士ガンダム0083 スターダストメモリーは辛いガンダムだと思った

今更ながらアニメの神様でやっていた機動戦士ガンダム0083スターダストメモリーを一気見した。このガンダムは自分が子供の時初めてであったガンダムで結構思い入れがあるのだが、今改めて全部一気見てこのガンダムかなりスッキリしない辛いガンダムだと認識した。子供の頃はそこまで考えてみてなくて、GP01かっけー!ガトーかっけー!戦闘シーン熱い!って思っていたんだけど(もちろん再度見たところ、この感想は変わらなかった)、ある程度大人になって見返してみるといろいろ見え方が違っていておもしろい。

以下改めて一気見していろいろ思った感想をだーっと書いてみる。

デラーズやガトーの対話できなさは怖い

子供の頃はデラーズやガトーのセリフを聞いて、難しい言葉使ってるなかっこいい!って思ってたんだけど、改めて聞いてみると結構怖いというか理想にかられたテロリストっぷりが気になった。この人達かっこいいこと言ってるけどよくよく考えてみると本当に対話できそうになくて怖い。

全体的に自分のやっていることに陶酔を覚える説得の通じない相手感が漂っていて、もはや激突は必至という感じ。ここまでこじれたらもうどちらかが倒れるまで闘わないといけない怖さを漂わせている。これは昨今の世界情勢を知識として持っているせいか、話の通じない相手との衝突という点でリアルな怖さを感じさせてくれた。こういう相手を前にして対話なんて無力に思えてくる。

GP01とGP02が闘っているときの台詞にも狂気と陶酔がこもっている。

第2話「終わりなき迫撃」
我々はスペースノイドの真の解放を掴みとるのだ、地球からの悪しき呪縛を我が正義の剣によってな

デラーズのこの台詞も怖い。

第5話「ガンダム、星の海へ」
そうではない。あの時お前はジオンを再び興す為、生まれ変わったのだ。その心こそ大儀。

小規模だが精鋭の部隊で本気でジオンを再興できると思っているデラーズフリートの面々。でもざーっと通してみたけど、本当にジオンを再興とスペースノイドの解放を願って闘っているのか割と疑問に思える。この人達は私怨をジオンの再興という大義で包んでいるだけなんじゃないか、やられたからやり返すことしか考えてないんじゃないかと思わされる。最後に全勢力で特攻まがいの戦闘をしているわけだし。ガトーの台詞にもそれはうかがえる。

第10話「激突戦域」
戦いの始まりは全て怨恨に根ざしている、当然のこと

ガトーがノイエジールを前にした時のセリフとかも陶酔がうかがえる。

第11話「ラビアンローズ
素晴らしい・・・。まるでジオンの精神が形となったような・・・。

でも後に続くものに期待をしていたり、アクシズに回収をまかせているあたり。最後に大花火を上げて闘争を続けるための伝説に自らなるという意図がある気がする。とはいえやはり闘って死にたかったんじゃないかなと改めて見て思った。スペースノイド解放の大義と敗戦の雪辱を晴らす為の闘争。いろいろゆがんだ結果がデラーズフリートの行動に結びついているのかな。

HGM 1/550 AMX-002 ノイエ・ジール (機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY)

HGM 1/550 AMX-002 ノイエ・ジール (機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY)

ウラキは結局ガトーに勝てなかった

ウラキが結局最後までガトーに勝てなかったのも悲しい。GP01にのってGP02を追うもあしらわれ、ソロモン海域で激突するも相打ちになり、最終決戦でGP03でノイエジールと闘うも、ソーラシステムⅡで闘いは中断する。結局MSを駆っての闘いではガトーには勝てていない。割とソロモン海域ではいいとこまでいったが、相打ちまでが限界。主人公が最終的にライバルに勝てていないのはかなりのもにょもにょポイント。とてもスッキリしない。

しかもウラキの場合はさらに辛くて、恋でもガトーに負けている。ガンダム三大悪女で知られるところのニナは今の恋人であるウラキを捨てて最終的にガトーと行動を共にしている。しかもウラキにガトーを打たせまいとして、ウラキに向けて発砲すらしている。ウラキの心中はズタボロだろう。しかもそのあとわざわざ最後の闘いをするために待っていたガトーと決着をつけようとするものの、ソーラシステムに妨害されている。好きな女性をとられ、ライバルと闘うも勝てず。ウラキはズタボロだろう。結局ウラキはガトーとは闘いでも恋でも勝てなかったのである。

HGUC 1/144 RX-78GP02A ガンダムGP02A サイサリス (機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY)

HGUC 1/144 RX-78GP02A ガンダムGP02A サイサリス (機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY)

三つ巴の泥仕合

最後の局面でシーマがデラーズフリートを裏切り連邦側につく。アルビオン隊にもシーマの艦隊とともにソーラシステムを守れという命令を下す。それに対してシナプス艦長は反抗する。この結果、連邦&シーマ艦隊VSデラーズフリートVSアルビオン隊の三つ巴の泥仕合に発展する。

アルビオン隊としては今まで闘っていたシーマ艦隊と共闘することは受け入れられなので攻撃を続行するしかなく、しかもコロニーを止めなければならないという複雑な状況になる。コロニーを止める目的を一緒にしているが敵同士のシーマ艦隊。ウラキの駆るGP03は最終的にシーマ艦隊のリリーマルレーンとムサイを沈め、ガーベラテトラを撃墜する。コロニー阻止のための戦力をアルビオン隊は削ぐことになってしまった。この行動が後々のウラキやシナプスの立場を悪いモノにしている。

この三つ巴の泥仕合では、シーマ艦隊のゲルググデラーズフリートのザクを撃墜するシーンや敵味方入り乱れての乱戦などがあり、戦闘シーンとしてはかなり圧巻なモノとなっている。ジオンのモビルスーツ同士がぶつかり合うところは折角積み上げてきたモノががらがらと崩れ落ちるようで、デラーズフリートとして考えると辛いモノがある。結局ジャブローへ落とすはずのコロニーは北米に流れ目的を真の意味で完遂することはできなかった。最終的にシーマ艦隊は全滅するのでいったい何のための裏切りだったのかとシーマ艦隊側としても落胆感が辛い。

アルビオン隊としては信念を貫くために立場を悪くし、デラーズフリートとしては最後の矢としてはなった重い一撃を加えるもほぼ全滅。シーマ艦隊は裏切った付けを払うように全滅し、得をしたのは連邦軍の一部の派閥で、それがそのあとティターンズになる。物語の中心で動き回っていた人たちを差し置いて外で見物していた一部の人物が漁夫の利を得る構造になっている。何とも後味が悪すぎる展開であった。

HGUC 1/144 RX-78GP03 ガンダムGP03 デンドロビウム (機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY)

HGUC 1/144 RX-78GP03 ガンダムGP03 デンドロビウム (機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY)

HGUC 1/144 AGX-04 ガーベラ・テトラ (機動戦士ガンダム0083)

HGUC 1/144 AGX-04 ガーベラ・テトラ (機動戦士ガンダム0083)

アルビオンクルーのティターンズへの組み込みと、ウラキの左遷

最終的に闘いが終結したあと、ウラキは懲役刑に処される。そのあとティターンズが結成され、アルビオンのクルーはティターンズに組み込まれる。ウラキは罪状がなくなり、北米の基地へと左遷される。

ガンダムシリーズを見ている物として、アルビオンのクルーがティターンズに組み込まれるのは何ともやるせない。Zの時の敵に組み込まれるわけだから。グリプス戦役が始まったとき、アルビオンのクルーがどうなったかを考えるとやるせない。最後のシーンでジャミトフっぽい人の配下になったようにも見えたし。でも1連の流れを見てみると、モンシアはジオンの残党のことを「この宇宙人め」と言ったりして割と差別的な感情が見えたりしたので、ティターンズに組み込まれるのも割と自然の流れかも知れないとも思わされた。

ウラキが左遷されたのは北米の基地で、穀倉地帯が全滅している現場にウラキは立ち会うことになる。自身が止めることのできなかったコロニーで壊滅的な被害を受けた北米に左遷されるとは何ともひどい扱いだ。唯一の救いはそこにキースがいたことだろう。キースの存在がウラキの心を支えている。そのあとニナがウラキのもとに戻ってくるような描写があるが、あれをハッピーと呼んでしまうのは酷だろう。ニナがガンダム三大悪女と呼ばれるのは最終的にウラキを撃ったにもかかわらず、そのもとに戻ってきていると言うこと。並の神経じゃ辛すぎて顔も見れないと思うのだが。

HGUC 1/144 RGM-79Q ジム・クゥエル (機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY)

HGUC 1/144 RGM-79Q ジム・クゥエル (機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY)

結論0083は辛いガンダム

こうして一気に見た結果、0083はガンダム史上かなり辛い話だということがわかった。ウラキはガトーに勝てないし、誰が味方かわからない泥仕合に発展するし、Zの時の敵であるティターンズにクルーは飲み込まれるし、最終的にコロニーの落ちた北米にウラキは左遷される(アニメ中では語られていないがシナプスは銃殺刑になる)。本当にスッキリしないガンダムだ。

戦闘はガンダム屈指のかっこよさだし、MSのデザインもカトキハジメが関わっているからかスタイリッシュなので言うことなのだが、話の終盤が辛かった。子供の頃見てたときは話の流れはほとんど気にしていなかったけど、大人になってみてみるといろいろな発見があっておもしろい。改めて一気に見直して良かったと思う。スッキリしない話だったが無印ガンダムZガンダムとの間をつなぐ話と思えばスッキリしなくて当然だと思う。

いろいろ辛い話だったけど、自分にとって思い入れのあるガンダムであることは変わらないので、新しく出ている漫画の0083やプラモデルにも手を出していければなと思う。0083はいろいろ辛い話だけどおもしろいガンダムだったよ。

2016/11/26 追記

最近 Amazon Primeガンダムが沢山追加されてスターダストメモリーもその中に入ってました。ガンダム祭りができるって素晴らしい。