森見登美彦の小説原作の「夜は短し歩けよ乙女」を見に行ってきました。原作は過去に読んでとても好きだったので今回の映画化も楽しみにしていました。
見に行った感想として一言で言うと、凄く面白かったです。四畳半神話大系の制作陣が作っていると言うこともあり、雰囲気はアニメ四畳半神話体系のそれと同じで、いい感じの京都の大学生ファンタジー(?)って感じでよかったです。
少し前までやっていたアニメの再放送を見ていたこともあってか四畳半の続編を見ているような気分になりました。そしてちょいちょい四畳半のキャラクターや小物も出ていたので見ていて楽しかったですね。小津っぽいキャラクター(小津ではなかったけど)とか城ヶ崎先輩に香里さん。それにモチグマンも出てきて良かったです。
以下感想をつらつらと。ネタバレもあり。
映像化した詭弁踊りと乙女の可愛らしさ
小説のアニメ化ではあの場面をどう再現するんだろうというのがちょいちょい出てくると思うのですが、夜は短しでは詭弁踊りが面白かったです。
詭弁論部伝統の謎の踊りは想像ではものすごくばかげた踊りとして頭の中で映像化していましたが、アニメの詭弁踊りはそれ以上でした。あれほど巫山戯た踊りだったとは。乙女もその踊りを踊ったのを見たときはとても愉快でした。
その後の木屋町界隈を飲み歩く乙女はかなりかわいらしく良かったです。声優が花澤香菜でかわいらしい声をしているというのもあると思うのですが、乙女のキャラクターデザインはかなりかわいらしくデザインされており、木屋町を顔色一つ変えずに飲み歩く姿と可愛らしさのギャップがいい感じを出していました。
その後で出てくる李白の電車もファンタジー感を出していてとても良かったです。小説でも意味がわからない李白の電車ですが、アニメのほうでも意味のわからないファンタジー感でした。電車なのに広すぎませんか?そういうのを考えても意味が無いアニメなので考えません。何せファンタジーですから。
パンツ総番長の声が意外に良かった
ゲリラ演劇の偏屈王のくだりはミュージカルテイストで見ていてとても楽しかったです。あのあたりは原作とだいぶ違うのですが原作と違うようにしたことで逆にだいぶめちゃくちゃな感じになっていてスピード感もあり楽しげでした。
そして意外なことにパンツ総番長の声を当てているロバートの秋山が声が良く、最後で歌のシーンが凄くはまっていて良かったです。芸人が声優をやるっていうとちょっと身構えてしまうのですが、ロバートの秋山は適役だったと思います。パンツ総番長のキャラクターデザインとロバートの秋山の低い声が妙にマッチしていて良かったです。
最後の総番長と学園祭事務局長が対峙するところは笑いました。学園祭事務局長のあたりも原作にはなかったのですが、見ていてパンツ総番長の一目惚れした相手の正体に気づくといろいろ笑えてきて楽しかったです。学園祭事務局長の声優は神谷浩史ですが、やはり神谷浩史は凄いですね。女装した男の声をやらせることにおいて右に出るものはいないんじゃないでしょうか。最初聞いてて気づかなかったです。
ラストの盛り上がりがよかった
最後のみんなが風邪をひいてしまい乙女がお見舞いして廻る場面も最後の怒濤の盛り上がりで良かったです。
お見舞いしていった先でいろいろ貰ったり情報を得たりして、それが最終的に先輩の夢の中だか現実だかの世界で役に立ったり。先輩の理性と本能のせめぎ合いで、本能であるところのジョニーが先輩を勝つところなんか本当に面白かったです。四畳半神話体系の時のジョニーも良い味出してましたが今回もかなり良い味でしたね。
いろいろラストの盛り上がりが終わって、最後に喫茶店で乙女と待ち合わせるところは、いろいろめちゃくちゃだったお祭りが終わってようやく静かになったような感じがして余韻としてはとても良いものだったと思います。
そこで乙女が「あの一夜」と言っていたのに驚きました。あのめちゃくちゃなお祭りみたいな状態がまさかの一夜のことだったとは(ひょっとしたら聞き間違いだったかな?)。確かに場面はずっと夜で、李白と飲み比べしたときも、古本市も、学園祭も、お見舞いも舞台はみんな夜だったんですよね。何というファンタジー感。でもとても好きです。
まとめ
総じてめちゃくちゃでお祭り騒ぎなアニメでした。見ていてとてもあっという間だったと思います。乙女は可愛く先輩は情けなく、樋口師匠や羽貫さんなど四畳半でのキャラクターも登場し、最後にジョニーが馬で大暴れ。とても楽しい映画でした。小説をもう一度読み直したくなりましたし、円盤が発売されたら買ってもう一度見たいですね。とてもよいアニメ映画でした