ベースキャンプ社のCEOとCTOの共著。ベースキャンプ社の働き方をまとめた本「NO HARD WOEK!」を読みました。彼らが目指す穏やかな会社、カーム・カンパニーのやり方はこれをそのまま取り入れることは出来ないけど、カーム・カンパニーにしていったプロセスの一端を知ることが出来たので、ITベンチャーに勤める者としておもしろかったです。
ざっと感想を書いていきます。
NO HARD WORK!: 無駄ゼロで結果を出すぼくらの働き方
- 作者: ジェイソンフリード,デイヴィッドハイネマイヤーハンソン,Jason Fried,David Heinemeier Hansson,久保美代子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2019/01/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ベンチャーらしくないベースキャンプ社
読み始めて初めの方でベースキャンプ社はよくある野心的なベンチャー企業とは違い、それほど大きな野心を持っていないというところに驚きました。頑張ることを辞めて市場を独占することをせず、大きな目標を立てずにベストを尽くし、世界を変えるなんて思っていない。アメリカのITベンチャーはもっとガツガツしているモノかと思っていましたが、ベースキャンプ社は例外のようでした。
ベンチャー企業で働いている者として市場の独占はしなくちゃいけない(それが出来るかどうかは別としてそういうマインドを持たないといけない)ことのように考えていましたが、他社と比べるのを辞めて自分たちの考えでベストを尽くす会社が一定の地位を収めているというのは驚きでした。
会社でも個人でも競争しないというのは穏やかになるのに大事なことのようです。
ベースキャンプ社は働く人の時間を大切にしている
ベースキャンプ社の労働環境はざっと次のようです。
- 労働時間は1日8時間で週40時間。
- その時間は会議や質問などで分断したりしたりしない。
- オフィスアワーを作ってその時間は質問したりすることができる時間にする。
- メールやチャットの返事は即応を期待しない。
働く人を邪魔しないというのは素晴らしいと思いました。特にオフィスアワーの時間というのはまねしたくなる。会社には必ず何かに特化した人がいるので、その人に質問しがちです。質問している間はその人の時間を奪っていることになるのでその人の生産効率は質問された分だけ下がります。それをオフィスアワーという特別な時間に集中させることによって、その人の生産性を落とさないようにするのは会社にとってもその人にとっても良いことのように思えます。
ベースキャンプ社は働く人の効率を大事にし目の前の仕事に集中して貰いたいというのが分かりました。1日8時間をいかに分断しないかはどの会社でも大事にした方がいいように思えます。
あと図書館ルールというのもおもしろくて、オフィスを気が散る邪魔な者があるところにせず図書館ととらえて集中出来る環境を用意しているというのが良いと思いました。仕事をしに来ているのに仕事をするのに邪魔な要素があると言うのはよく考えるとおかしなことです。それをよしとせず改善してオフィスを図書館のように静かに落ち着いた環境に保つというのはとてもよさそうです。
同意ではなくコミットを求める
この本で一番ぐっときたのは「反対だけどコミットする」という言葉があったことでした。
何か決定するとき同意を得ようとすると膨大な工数がかかり、説得をすることができても不承不承という形になりあまり後味が良くないことが多いと思います。にもかかわらず何かを決定するときは説得というフェーズが必要なのは真面目な会社ならよくあることだと思います。
ベースキャンプ社はここで意見は出して貰うけど決定する担当者は一人でそれを決定し、そのことをちゃんと説明して決めていくようです。ともすればワンマンになりそうなやり方ではありますが、真剣に意見を聞き決定したことをちゃんと説明することが出来れば割と理想的な物事の決め方なんじゃないだろうかと思いました。
初めからカームではなかった
カーム・カンパニーとはこういう働き方だぞということを示してくれた本書ですが、それぞれの節を読んでみるとベースキャンプ社だって最初からカーム・カンパニーというわけではなかったというのがうかがえました。
ベースキャンプ社のすごさは良い組織を目指して日々改善ができたことなんじゃないかと思います。そこで働く人がパフォーマンスを発揮できるように人に注力した良い組織を作ろうとした結果時間をかけて作り上げていったのがカーム・カンパニーなのだと思います。
まとめ
この本を読むとベースキャンプ社がそこで働く人にとって良い環境であると言うことがわかります。
誰もストレスまみれの働き方をしたいと思うはずはないと思うので、ここで紹介されている手法は取り入れることが出来る部分は取り入れていきたい者だと思いました。
自分は小さなベンチャー企業の社員なので、組織を変えると言うことにコミットしやすい立場にあるとおもいます。うちの会社なりにカーム・カンパニーにして行くにはどうすれば良いか、考えるきっかけになるいい本だったと思いました。