小川一水の短編小説「アリスマ王の愛した魔物」を読みました。本屋で気になって手を取ってみた小説でしたが、どの短編もとてもおもしろかったです。
- 作者: 小川一水
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2017/12/28
- メディア: Kindle版
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ろーどそうるず
これは以前NOVA3で読んだことがある短編でした。
バイクの人工知能がネットワーク越しに存在する同じくバイクの人工知能にレポートを送っていく話で、人工知能かなり擬人化されていて実際にこういうふうに人工知能同士が対話してたら面白いなと思わされました。
いろいろな逆境もあり、それでもレポートを送り続け、人工知能同士が対話して最善を尽くしていくところは思わず引き込まれました。
最後はほっこりとした気持ちで終えることのできる短編でした。
ゴールデンブレッド
スペースオペラにおける異文化交流といったような感じの短編でした。
どこか日本を思わせる文化の小惑星にある村レイクビューに不時着した山人の豊菓が紆余曲折ありつつもレイクビューになじんでいき、血統や文化に自分が縛られていることに最終的に気づく話でした。
話は民族や文化の違いなどちょっと難しいテーマを扱っていました。自分は最終的に出自など些細なことで幸せは自分で見つけることができるんだと読んで解釈しました。
そういうテーマもありながら小惑星の構造や、そこで暮らす人々の技術、山人の拡張していく文化などよく考えられていて面白かったです。日本風の文化も外側から見れば異様だというのがよく表現されていて興味深かったです。
アリスマ王の愛した魔物
算術を武器に国を拡大していったアリスマ王の一生がお伽噺のように語られる短編でした。
アリスマ王はそのたぐいまれなる算術の能力で突然現れた従者のために大陸を平定していく。歴史物の昔話を読んでいるようで面白かったです。
特に算術のための施設「算廠」を作りそれに計算させてそれの通りに国を動かしていくというのが独特で面白かったです。かなりアナログなコンピューターというその世界でのオーバーテクノロジーで他国を圧倒していくのがぐっときました。
後半になるにつれて明らかになっていくゾッとするような事実があるのですが、そこで語られる帝国を拡大させたとき誰が一番益を得たか?というところはなかなかうなります。
星のみなとのオペレーター
古き良きスペースオペラ感のある話でした。
宇宙港管制局のオペレーターであるスミレがファーストコンタクトで重要な役割を果たすという内容でした。
宇宙港の管制官という仕事がリアルな感じに描かれていて面白かったです。こういうSF世界の仕事が丁寧に書かれているとリアリティがぐっと上がる気がします。
ファーストコンタクトものとしては太陽の簒奪者に近い、異星人のコンタクトがトラブルに繋がりそれにどう対応していくのかという流れでした。
- 作者: 野尻抱介
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2005/03/24
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世界の危機なんてどうでもいい、あの人からの返答をききたい!というスミレの勢いがいい感じに外れていて面白かったです。
リグ・ライト ‐機械が愛する権利について
祖父の所有していた車とロボットの謎と人工知能の愛など。ストーリーを説明しずらい感じですが、これがいろいろ面白かったです。
まず自動制御の車の法律面のはなしや、自動制御を実現するAIのアーキテクチャなどこれもよく考えられています。
人工知能が決断したとき、それは誰の責任になるのか。人工知能が責任をとれるようになったとき、それに対して人はどう対応するのか。読んだあといろいろ考えさせられて面白かったです。
こういう読んだあと考えさせられるSFはとても好みです。
まとめ
総じて楽しめる短編集でした。たまにはふらっと入った本屋でジャケ買いしてみるものですね。