黒井緑の「赤城と比叡」を読んだ。
最近艦これとかやってるからこの手のワードには敏感だが、表紙からわかるように可愛い萌え萌えの女の子がキャッキャウフフする漫画ではない。かなり硬派で、扱っている艦も日本のだったりドイツのだったりと軍艦愛に溢れている漫画であった。
挙げられている艦はドイツの第一次大戦時の潜水艦をはじめ、日本の黄海海戦時の砲艦、ドイツの第二次大戦時の潜水艦、日本の第一次大戦時の駆逐艦と第二次大戦時の駆逐艦、イギリスの第二次大戦時の駆逐艦など。比較的小型でマイナーな艦が中心で面白かった。
漫画の描き方もかなり硬派で、トーンを使わず線描とべた塗りだけで描かれている。見方によってはかなり荒く描かれているとも取れるが、それがこの漫画の硬派さを出しているのかもしれない。それにしても線描だけで艦や海を書くのは単純にすごいと思う。
一番はじめの第一次大戦時のドイツの潜水艦「U-9」の話が、敵発見から潜水、魚雷発射ののち戦果確認などの流れが丁寧に描かれていてとてもおもしろかった。
電池充電中に潜行をはじめたため電池がやばい、魚雷が炸裂したときの動揺で船体が歪むから撃った後に離れるなど、描写が細かくて面白い。乗組員たちの動作もちゃんと各自が自分の仕事をしているところもちゃんと描かれているのが良かった。
イギリスの駆逐艦グロウウォームがドイツの重巡洋艦アドミラル・ヒッパーに体当たりする話もおもしろかった。
駆逐艦が重巡洋艦を相手に無謀ながら戦いを挑むのがなんともカッコよく描かれていた。
「我が英国海軍のモットーは?」
「見敵必殺!」
魚雷を囮にしてラミングをするグロウウォーム。ものすごく無謀だけどかっこいい。第二次大戦時の艦には衝角が付いてないのによくやる。
艦これではおなじみの駆逐艦夕立が出てくる話もよかった。
ガダルカナル島への揚陸、その足で飛行場を砲撃、帰投しかけた時みかけたイギリスの艦を攻撃。夕立の仕事っぷりがすごかった。さすが武勲艦と呼ばれるだけはある。戦闘の描き方も探照灯照射の描き方がかっこいいので燃える。
全体的に硬派で戦艦やそれに乗り組む人への愛をとても感じる漫画だった。
- 作者: 黒井緑
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2015/05/29
- メディア: コミック
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