チラシ裏日記上等!!新館

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岸見一郎の「幸福の哲学」を読みました

岸見一郎の「幸福の哲学」を読みました。以前「嫌われる勇気」を読んでアドラー心理学の考え方に触れましたが、幸福の哲学は作者の体験やギリシア哲学に触れつつより詳しくアドラー心理学を用いて幸福になる方法を考察していました。

読みやすい「嫌われる勇気」と細かい「幸福の哲学」

嫌われる勇気も幸福の哲学もアドラー心理学の考え方が書いてありました。「嫌われる勇気」では青年と哲人が対話形式で進んでいきます。青年と哲人が議論することでアドラー心理学の考え方を通じて幸福になる方法を哲人が青年に説いていきます。それに対して「幸福の哲学」では他の書物の引用を含めつつ自身の体験も交えながら幸福とは何か幸福になるにはどう考えれば良いかを細かく考察しています。

読みやすさで言えば「嫌われる勇気」のほうが読みやすいです。「幸福の哲学」は著者の思想の集大成のようで一種の哲学書に近い印象があります。「嫌われる勇気」はアドラー心理学の入門に最適のように思えました。すぐ読めて考え方を実践したくなる良い本だと思います。さらに幸福になるとはどういうことだということを深掘りしていきたいと思ったとき「幸福の哲学」に読み進めていけると良さそうです。「嫌われる勇気」にはなかった他の書籍の引用や、批判が書かれておりさらに幸福を求める考え方を追求していきたくなります。

ギリシア哲学とのつながりや他の著作からの引用で幸福について考察する「幸福の哲学」

「幸福の哲学」の内容としては、基本的には「嫌われる勇気」で書かれていたことが書かれており、さらに一つ一つのトピックについて深掘りしているという感じでした。特徴的なのは著者の専門である古代ギリシアの哲学を交えたり、著者自身の体験に照らし合わせていることでした。古代ギリシアの考え方とアドラー心理学が繋がっており、ギリシア哲学も良く生きる上で参考になることや、著者の体験と考え方をなぞることで不幸な出来事に遭ったとしても乗り越えられるということがわかりました。また引用されるプラトンの著作も読みたくなりました。

個人的に興味深かったのは日本の哲学者三木清にも触れているところで、

三木は、成功は「過程」に関わるが、それに対して、幸福には、本来、進歩というものはなく、「幸福は存在に関わる」といっている。何も達成していなくても、何も所有していなくても、成功しなくても、人は幸福になることが出来るのだ。

幸福の哲学 P.51 第一章 幸福とはなにか

と書かれていました。この一文は心にとめておかないといけないと思いました。この本では三木清の著作がたびたび引用されているのでそちらの方にも興味がわきました。

他にもアレクサンドロスの逸話やサマリア人の喩え、涅槃経にカラマーゾフの兄弟など様々な著作の引用をし幸福について考察しているので引用されている著作も読んで自分でも考えてみたくなりました。

幸福について真剣に考えたくなる

今回「幸福の哲学」を読みました。この本と「嫌われる勇気」を読んで最近何となく気持ちが楽になったような気がします。対人関係の悩みや他者の評価から自由になること、普通であることを受け入れることなど、割と仕事関係で悩むことが多い最近の自分に凄くフィットしていて、今このタイミングで読むことが出来て本当に良かったと思いました。

アドラー心理学の考え方をちゃんと実践できるようになるには時間がかかると書かれていたので、すぐに劣等コンプレックスを克服できるかどうかはあやしいところですが、本を読んだことで辛い気持ちになったときに思い出すことができ、困難にも対処できるようになったと思います。いろいろな人にお勧めしたくなります。

嫌われる勇気の続編で「幸せになる勇気」を読む前に幸福の哲学を読んでしまったのであれですが、「幸せになる勇気」も読んでみたいと思います。

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